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令和3年司法試験の結果発表を受けて

昨日は令和3年司法試験の結果発表でした。

 

www.moj.go.jp

 

令和3年司法試験に合格された方本当におめでとうございます。法科大学院を修了し、あるいは、予備試験を突破し、受験資格を取得した上での本試験合格は本当に大変だったと思います。すぐに司法修習に進む方はあわただしくなると思いますが、体調に気を付けて準備をしてください。

 

さて、以下は、令和3年司法試験に不合格だった方に対してです。各自の置かれた状況は様々だと思いますが、令和4年の司法試験受験を決意している方は(環境調整も含めて)直ちに受験準備を始めるべきです。お世話になった方への不合格報告等「礼儀」も大切ではありますが「礼儀」より「合格」です。報告や挨拶はほどほどにし、受験準備に取り掛かりましょう。この記事では、司法試験再受験にあたっての注意点についてお話ししたいと思います。

 

| 令和3年合格者の体験談を過信しない

私自身もそうですが、司法試験合格者としての自己評価はこの瞬間がピークです。しかし、どの合格者も合格は一度しか経験していません。そのような合格者が、自己評価の高まり故に、自身の経験を一般化して再受験生に伝えるということもよくあります。合格者の体験談は重要ではありますが、絶対視することなく、あくまでも「ツール」として活用する程度にとどめましょう。

 

| 自分自身の「甘さ」を認識する

司法試験業界は受験生に過剰に優しいです。しかし、私は、敢えて言います。受験に落ちる人は「甘さ」を抱えていることが少なくありません。私は、大学受験時代に1年間浪人しました。現役時は「京大の問題は難しいからわからなくても現場で考えれば大丈夫」だと思っていました。しかし、それでは、65%くらいの得点しかとることができず、医学科を突破するための70%のラインを超えることはできませんでした。そこで、浪人時は「分からないことをなくす」つもりで勉強しました。結局「難問はわからないくていい」という甘えが現役時の不合格を生んだのです。司法試験にも同じことが言えます。上位合格者が「簡単だ」と感じている問題を、不合格者が「現場思考問題」だと感じているということもあります。こうした感覚の差を埋めていくことも再受験生のタスクです。

 

| やみくもに勉強しない

受験勉強は「クレバー」に行ってください。勉強量が足りないからと勉強時間を増やしたり、演習量が足りないからと問題集を買い込んだりといった「やみくも」な勉強は逆効果です。私がおすすめなのが、令和3年の合格者(知り合いと話をするのが苦しければ全く知らない人でもよいです)と会話をしてみることです。これにより、合格者の知識水準を知ることができます。合格者が自分が曖昧にしか記憶していなかった定義や規範を明確に記憶しているのであれば定義規範を完全に丸暗記して即答できることを目指すべきです。初見の問題だと思っていたのが受験生の中で有名な問題だったということであれば演習対象の教材の質量を見直すべきです(合格水準の受験生のマジョリティが使用しているものか)。自己分析と合格との距離感を測ることは表裏一体です。やみくもに勉強するのではなく、自分自身、そして合格水準の受験生と真剣に向き合いましょう

 

| 来年の本番を想定する

再受験生にありがちなのが「過去問に詳しくなる」ことです。もちろん過去問は重要です。しかし、過去問を暗記しているのではないかという懸念を持って勉強すべきです。来年の本番では必ず初見の問題が出題されます。初見の問題を読み解く思考プロセスと、過去問を思い出す思考プロセスは大きく異なります。この違いを忘れ、過去問を思い出すだけの勉強に終始していては、初見の問題を解くことはできません。過去問分析をする際には、初見の問題を解くつもりで誘導文や問題文中の事実関係を丁寧に読み解き、自分が選んだ筋について確信を持てるか、確信を持てないのであれば妥協策としてどのように対応するか、について、きちんと吟味するようにしてください。

 

| 体調を整える

新型コロナウイルス感染症が流行していますが、それ以外にも体調を崩す原因はたくさんあります。季節の変わり目で風邪をひきやすくなりますし、ストレスから睡眠不足になる方もいるでしょう。しかし、勉強をするためには集中が必要、集中するためには体調管理が必要です。敢えて睡眠時間をしっかりとることも積極的な受験戦略です(知識は睡眠中に整理されるとい報告もあります)。来年の5月まで約9か月間、短いようで長くもあります。着実に成長するために、体調管理に配慮しながら頑張ってください。

 

以上、簡単ではありますが、来年の受験生に向けてのメッセージです。甘さを捨て、クレバーに、本番を想定しつつ、体調を整えながら、9か月間走り抜けてください。