TA Legal Education

司法試験・予備試験合格のためのHow toをClearかつConciseに伝えます。

受験勉強のフェーズ

司法試験の受験勉強について私が考える4つの「フェーズ」について説明をします。受験タイプによって合う・合わないがあると思いますので、自分に合うと思う方は参考にしてください。

 

その1-入門フェーズ

勉強をスタートさせる時期です。この時期はいわゆる「推測する力」が高い人が先に進むフェーズです。多少分からないことがあっても前後の文脈から分からないところを推測してテキストを先に読み進めていきます。多少解けない問題があっても解ける問題を増やしていき全体像をつかみます。

 

その2-修正フェーズ

入門フェーズで「推測する力」で先に進んできた人が誤った理解を修正するフェーズです。入門フェーズで要領よく先に進んでいった人ほどこのフェーズが重要になります。司法試験のテキストは、日常用語の延長で書かれています(少なくとも数式や英文等ではない)。そのため、「分かったつもり」になりやすいという特徴があります。「推測する力」で「分かったつもり」になったところについて、誤った理解を確認し、正確な理解へと修正していく必要があるのです。この修正フェーズを疎かにすると「立ち上がりはよいが伸び悩む」タイプの受験生になります。このフェーズでは分からないところをなくすつもりで勉強しましょう。

 

その3-妥協フェーズ

修正フェーズで分からないところをなくすつもりで勉強をしてもどうしても理解が及ばない部分というのが存在します。司法試験であれば「学説や判例が検討をしていない事案の解決」というのが典型例です。法律学はある程度大きな原理原則を意識しつつも個別具体的な事案の解決の中で内容を掘り下げていくという性質があります。そのため、学説や判例が検討をしていない事案については、学者も実務家も一定の見解を確立させっておらず、現場思考に委ねるしかないということがあります。このような問題点について「正解」を追求することは時間の無駄です。修正フェーズにおける「分からないところをなくす」ということと矛盾するようですが、「やるだけやったらあとは妥協する」というスタンスも重要です。

 

その4-訓練・調整フェーズ

身に付けた知識を実践するためのフェーズです。司法試験は受験するからには100%合格しなければなりません(現実には100%の合格というのはありえないですが、受験生のスタンスとしては100%を目指して勉強すべきです)。100%合格するためには、単に問題を解くということにとどまらず、未知の問題やイレギュラー(問題文の誤読や時間管理の失敗等)への対応といった現場力を強化することが重要になります。このフェーズに入ると、勉強というより、訓練・調整という側面が強くなります。

 

最後に

上記4つのフェーズはクリアに分かれるものではありません。例えば、当初設定した「修正フェーズ」の要求水準が合格ラインに届いていない場合は、「訓練・調整フェーズ」に入った後で、改めて「修正フェーズ」に戻るということもあります。また、出題頻度の高い分野については「訓練・調整フェーズ」に入りながらも、出題頻度の低い分野については「入門フェーズ」ということもあります。司法試験に効率よく合格していく人は、本試験の傾向や自分の学力を常に見極めながら、こうした勉強のフェーズを上手に行き来していきます。