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司法試験・予備試験合格のためのHow toをClearかつConciseに伝えます。

受験勉強のフェーズ

司法試験の受験勉強について私が考える4つの「フェーズ」について説明をします。受験タイプによって合う・合わないがあると思いますので、自分に合うと思う方は参考にしてください。 |その1-入門フェーズ 勉強をスタートさせる時期です。この時期はいわ…

「確認の利益」とは結局何なのか

確認訴訟の訴訟要件として論じられる「確認の利益」とは結局何なのでしょうか。①方法選択の適否、②対象選択の適否、③即時確定の利益、の3要素を問題とするという立場が伝統的な受験界通説であったと思われるが瀬木比呂志『民事訴訟法 第2版』(日本評論社…

「強制の処分」該当性の検討

司法試験刑事訴訟法では「強制の処分」(刑事訴訟法第197条第1項ただし書き)該当性が頻出です。 |まずは条文を読んでみる 【刑事訴訟法第197条第1項】 捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、こ…

「申請に対する処分」該当性の論じ方

申請に対する処分は行政手続法第2条第2号および同条第3号により定義づけられ、同法第2章に規定があります。司法試験・予備試験において「申請に対する処分」該当性が問われた際には論じ方に工夫が必要となります。 |「処分」と「申請に対する処分」の関…

表現行為と萎縮的効果(特定表現に対する不利益取り扱い)

H27年司法試験憲法の出題趣旨より引用です。私人が特定の表現行為を行ったことにより不利益な取り扱いを受けた場合に「一般に当該問題について意見等を述べることを萎縮させかねないこと(表現の自由に対する萎縮効果)をも踏まえた検討」することが求めら…

「剣道」の不受講判決を読む

最高裁平成8年3月8日第二小法廷判決について検討します。この判決は、エホバの証人に入信している学生Xが、信仰上の理由により、剣道の授業を受講しなかったところ、これについて代替措置が講じられず、欠席扱いとなった結果、原級留置処分とされた事案…

予備試験択一試験お疲れさまでした

司法試験予備試験受験生の皆様、択一式試験お疲れさまでした。さっそく自己採点を行っているところかと思います。択一に合格した場合、論文式試験までの時間は限られています。その間に、択一に傾いた「思考の癖」を論文に戻さなければなりません。まずは択…

別件逮捕・勾留の論じ方

司法試験でも出題歴のある「別件逮捕・勾留」の論じ方について検討をしてみます。 |問題の所在を把握する 「別件逮捕・勾留」の論点は、要するに、「A罪の捜査という目的でB罪を理由に身柄拘束をしてよいのか」という問題意識です。すなわち、捜査官の主…

無効確認訴訟の補充性要件を考える

司法試験でも出題歴のある無効確認訴訟の補充性要件について検討します。この論点は一見わかりやすそうで実は分かりにくいのできちんと内容を整理して押さえておく必要があります。 |根拠条文を確認する まずは無効確認訴訟の補充性要件の根拠条文を確認し…

論証の理由付けを原則省略するという意識

現行司法試験との関係で、私は「論証の理由付けを原則省略する」という意識を持つことを推奨しています。その理由は以下の通りです。 | 途中答案を回避する必要 現行司法試験は2時間という長時間の中で最大8ページの答案を書くことになります。これは受験…

処分性検討における「権利救済の実効性」の位置づけ

処分性(行政事件訴訟法3条2項)検討における「権利救済の実効性」の位置づけについては諸説あります。中には、①公権力性、②直接具体的法効果性、③権利救済の実効性の3要件で処分性を検討するべきであるという立場もあるようですが、①②が明らかに認められ…

同時履行の抗弁に対する履行の提供の再抗弁

同時履行の抗弁に対する履行の提供の再抗弁は主張自体失当として認められることはありませんが、こうした論点に導入する際に書き方に迷うことはよくあります。「同時履行の抗弁に対する履行の提供の再抗弁が認められるか」とするといかにも論点主義的であり…

【告知記事】2021年11月28日

当記事は告知記事になります。本日は2点告知を行います。 |答案添削サイト「コレクチャ」募集要項変更 correctcha.com 募集対象問題を「令和2年から平成30年の司法試験・予備試験」としていたところ「令和3年から令和1年の司法試験・予備試験」へと変…

判例百選(有斐閣)の使い方

司法試験との関係で「判例百選」(有斐閣)をどう使うかは受験生の多くが悩むところだと思います。その理由は、必ずしも使いやすい教材ではない一方で百選判例が合格水準の一つの基準になっているのではないかという疑念が生じうるからだと思います。この記…

最近流行していると思われる憲法答案のスタイルについて

受験生の答案を添削していると、最近以下のような憲法答案のスタイルが流行しているようです。 <流行の答案スタイル(※便宜上の呼称です)> 法n条は、①・・・を禁止しているところ、②・・・は「表現」(憲法21条1項)にあたるため、表現の自由を規制す…

伝聞法則の論じ方

司法試験の刑事訴訟法では伝聞法則が頻出ですが、受験生の多くが苦手としている分野です。この記事では、伝聞法則の論じ方の基礎を解説していきます。 |伝聞証拠の意義 伝聞法則の意義は①公判廷外の供述で②要証事実との関係で内容の真実性が問題となるもの…

民事訴訟法で具体的な答案を書くために

民事訴訟法で具体的な答案を書くためには、実体法科目とは少し発想を変える必要があります。民事訴訟は、私的紛争の公権的解決手段であるところ、民事訴訟法の主眼は「公権的解決」としてのプロセス、すなわち訴訟手続にあります。実体法科目に慣れていると…

演習型学習の「マンネリ化」を防ぐ

司法試験・予備試験ための問題演習を長くやっていると「マンネリ化」という現象が起きます。「マンネリ化」が続くと、新たな発見が得られず、学力が向上しません。この記事では、演習型学習の「マンネリ化」を防ぐためのアイデアをご紹介します。 |「演習」…

司法試験短答式試験で高得点を狙う

現行司法試験は短答式試験と論文式試験の合計点で合否が決まります。また、短答式試験で不合格になってしまうと論文式試験が採点されることはありません。そういう意味でも、受験生としては、短答式試験を軽視すべきではありません。この記事では短答式試験…

出題趣旨・採点実感の読み方

司法試験において出題趣旨・採点実感は法務省が発表した「一次情報」です。そのため、これらの資料から受験生が得られる情報は極めて大きいです。しかし、一方で使い方が難しいという難点もあります。この記事では、出題趣旨・採点実感の読み方を解説します…

令和3年司法試験の結果発表を受けて

昨日は令和3年司法試験の結果発表でした。 www.moj.go.jp 令和3年司法試験に合格された方本当におめでとうございます。法科大学院を修了し、あるいは、予備試験を突破し、受験資格を取得した上での本試験合格は本当に大変だったと思います。すぐに司法修習…

私が受験した全国模試(本番約2か月前)の結果

私が司法試験受験生直前期に受験した全国模試の結果を公開します。全国模試を受験した際の基本戦略は①時間配分や形式面に配慮すること②配点の大きい部分を見抜いて重厚に論じることでした。 |TKC/伊藤塾全国公開模試の結果 【順位と評価】総合 50位台/…

司法試験と条文学習

司法試験受験生にとって何よりも大切なツールが「条文」です。「条文」は予備試験・司法試験の論文式試験で参照することができるため試験現場で「条文」をいかに素早く引くことができるかが合格のカギを握ります。もっとも、現場で「条文」を素早く引くため…

原告適格の検討手法

この記事では行政法の超重要論点の1つである「原告適格」の検討手法について説明します。 | 訴訟要件としての「原告適格」 原告適格は行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」として規定されており取消訴訟の訴訟要件とされています。その他、…

文面審査のポイント

この記事では違憲審査基準の一類型である文面審査について解説します。 | 違憲審査基準とは 司法試験の「憲法」では法令の憲法適合性が問われます。この憲法適合性を判断するための基準を(法令違憲の)違憲審査基準とします。違憲審査基準は①文面審査と②実…

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司法試験講師Takumi Aikawaが司法試験・予備試験受験生が効率よく実力を飛躍させることができるよう有益な情報を継続的に発信します。併せて新規コンテンツやイベントの告知も行います。 | AUTHOR PROFILE 京都大学医学部卒後、司法試験合格 医師免許・実用…