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司法試験・予備試験合格のためのHow toをClearかつConciseに伝えます。

司法試験短答式試験で高得点を狙う

現行司法試験は短答式試験論文式試験の合計点で合否が決まります。また、短答式試験で不合格になってしまうと論文式試験が採点されることはありません。そういう意味でも、受験生としては、短答式試験を軽視すべきではありません。この記事では短答式試験に対する取り組み方をご説明します。

 

|短答合格率100%を目指す

どんな試験にもゲーム性があります。十分な知識やスキルがあっても「事故」により不合格になることはあります。しかし、令和3年司法試験の結果を見ると予備試験合格者の短答式試験合格率は100%となっています。これは驚異的な数字です。予備試験合格者は繰り返し短答に合格することで短答に合格するために必要な知識やスキルを身に着けています。これらを身に着けてさえいれば「足きり」としての短答式試験であれば100%突破できるということです。短答式試験自体には不確定要素がありますが、現行司法試験の「足きり」に限って言えば、「ゲーム性」は限りなくゼロに近いということがわかります。短答合格率100%を目指すことは可能なのです。

 

|短答で高得点を狙う

短答式試験全体の配点は論文式試験1科目の配点と同じです。短答で合格者最低ラインを17.5点上回ることができれば、論文式試験で1科目10点分水増しできるという計算になります(論文の素点は1.75倍されて短答の素点と合計される)。これは45点の答案が55点になるということです。A~Eの評価が数段階変わるくらいの幅です。論文と異なりある程度出題される内容を予測できる短答式試験できちんと高得点を狙うことには大きな意味があります。

 

|過去問演習では知識を「整理」する

過去問を10周しても100周してもそれだけでは短答の力は向上しません。大切なことは知識を「整理」することです。条文ベースで整理すればよいと思っている方もいますがそれだけでは不十分です。類似の概念・制度(憲法司法権の限界、民法の地上権・地役権・永小作権等)を比較したり、本来異なるものでも同一の文言で説明される概念(民法の「放棄」や「催告」等)を整理したりすることはとても重要です(私はは、特に民法の択一六法には関連条文をメモしていました。そして当該条文を引くたびに関連条文を毎回引くように意識していました。)。時には表や図を使って整理することも有効です(その際は自作の表や図を用いて記憶喚起する練習までしましょう。私は初学者の頃、「民法図表20」みたいな自作教材を作り、択一の問題を解くたびにこの図表を見ながら解いていました。こうすることで図表が頭に入ります)。

 

|わからないことは調べる

司法試験の学習がある程度進むと択一は基礎・論文は応用という思い込みに支配されます。しかし、択一プロパーと呼ばれる部分については基礎知識すら応用レベルに難しいということがあります(私は、先取特権や、弁済の代位といった論文で出題されにくい知識は基本書を読み込み、きちんと理解をするようにしていました)。理解できていないことを記憶することは不可能です。急がば回れの精神でわからないことをきちんと調べて確実に知識を積み上げていきましょう

 

|選択肢の読解力

論文式試験が「書く試験」だとすると短答式試験は「読む試験」です。どれだけ論述力があっても短答式試験では無意味です。自分が選択肢をきちんと読むことができているか常に精査しましょう。短答の選択肢は読みにくいものが多いです。1文の中に複数の情報が盛り込まれていることも少なくありません。主語・述語・修飾語の関係を意識しながら文意を正確に読み取りましょう。

 

|処理能力を身に着ける

処理能力も重要です。科目によっては時間配分ミスを起こすこともあります。分野別の問題を解くこともよいですが、定期的に年度別の問題を解くことで、本試験を想定した実践的な演習を行い、処理能力を高めることが大切です(私は①知識問題をまず解き、②次いで事案処理問題を解くという順序で解いていました。知識を思い出すという思考と事案を処理するという思考は質的に異なるため同じ質の思考を連続的に行う方が脳に与える負荷が小さいと考えたためです)。

 

【補足】ケアレスミスを防ぐためのコツ

次のA~Eのうち誤っているものを2つ組み合わせたものを選べ。

A・・・

B・・・

C・・・

D・・・

E・・・

↑このような問題が出た際には、「誤っている」の部分に大きく×を付け、各選択肢の正誤を判断して、〇又は×を書いていきます。そうすれば、「×」を2つ組み合わせたものが正解になります。選択肢の正誤のみを判断すれば自動的に正解を導ける「仕組み」を作ることも大切です。

 

いかがでしょうか。短答式試験は、100%合格し、なおかつ、高得点を狙うべきものです。合格者は様々な学習ノウハウを持っています。「自分には無理だ」とあきらめることのないよう、全力で短答式試験を突破してください。