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出題趣旨・採点実感の読み方

司法試験において出題趣旨・採点実感は法務省が発表した「一次情報」です。そのため、これらの資料から受験生が得られる情報は極めて大きいです。しかし、一方で使い方が難しいという難点もあります。この記事では、出題趣旨・採点実感の読み方を解説します。

 

|「参考答案」とあわせて読む

出題趣旨・採点実感だけを読んでもどのように答案に落とし込めばよいかわからないのが通常です。そのため、必ず「参考答案」とあわせて読み、「出題趣旨・採点実感の記述を答案に落とし込んだらどうなるか」ということを確認してほしいと思います。

 

|「難しい部分」は飛ばす

出題趣旨・採点実感は当該問題におけるポイントをもれなく書いています。しかし、中には、受験生にとって非常に難しい議論も含まれています。現時点での自分自身の知識と出題趣旨・採点実感に書いてあることとの間にGAPがある場合、出題趣旨・採点実感を「丸暗記」するという勉強になりがちです。しかし、これでは何の意味もありません。「難しい部分」についてはいったん飛ばして先に進むのも1つの方法です。

 

|「優秀」「良好」「一応の水準」に騙されない

受験生はすべての検討事項について「良好」ないし「一応の水準」に到達していれば合格すると考えて勉強しがちです。間違いではないですが、学習段階では検討事項ごとに濃淡をつけるべきです。

 

  再出題可能性が高い事項 「優秀」を目指す

   上位再現答案を参考に上位A答案を書けるようにする

  あてはめにかかる事項  「優秀」を目指す

   参考答案を見ながら事実の使い方を学ぶ

  理解が難しい事項    「一応の水準」を目指す

  その他の事項      「良好」を目指す

 

「再出題可能性が高い事項」すなわち超重要論点は学習する際のコストパフォーマンスが高いです。そのため「優秀」を目指して勉強してほしいです。また、あてはめにかかる事項は、技術的な要素が強いため、やはり「優秀」を目指してほしいです。一方で、理解が難しい事項については、問題文から解きほぐせるレベルまで理解できれば十分であり、むしろ、解きほぐし方を重視して勉強するべきです。その他の事項(いわゆる少しマイナーな典型論点)については、学習段階もありますが、まずはある程度書けるレベルを目指すのがよいでしょう。

 

| 情報を一元化する

出題趣旨・採点実感における各論点の解説部分を自身の教材に一元化しましょう。私は、辰巳出版の「趣旨規範ハンドブック」に必要な情報をメモするなどしていました。出題趣旨・採点実感は、「一度読んだら二度と読まない」くらいの気持ちで勉強をするのがよいと思います(そうでもしないと時間ばかり食って先に進まない)。

 

出題趣旨・採点実感は確かに有益な資料ではありますが、情報量が多いため、無策で取り組むと大変なことになります。メリハリをつけて有効活用してください。