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最近流行していると思われる憲法答案のスタイルについて

受験生の答案を添削していると、最近以下のような憲法答案のスタイルが流行しているようです。

 

<流行の答案スタイル(※便宜上の呼称です)>

 

法n条は、①・・・を禁止しているところ、②・・・は「表現」(憲法21条1項)にあたるため、表現の自由を規制する。

 

これは、①で規制を認定し、②で権利保障を認定します。司法試験憲法の事案分析過程において「まず規制に着目する」という姿勢は正しく、この姿勢を素直に答案上に表現するとこのような書き方になるものと思われます。しかし、この書き方には1つの難点があります。それは、違憲審査基準設定段階における「権利の性質」の検討ピンボケするということです。

 

「権利の性質」で論じるべき「権利」は、表現の自由一般ではなく、本件で問題となっている具体的な権利です。すなわち、「・・・の自由」(具体的な権利)の性質を問題にしなければなりません。しかしながら、上記『流行の答案スタイル』では、規制対象の権利が「表現の自由」であるためか「表現の自由」一般の性質を大展開するという傾向が見られます。実際に配点が振られているのは「・・・の自由」の性質です。そのため、違憲審査基準設定においてもこの点に筆を割く必要があります。

 

『流行の答案スタイル』を用いた結果、ピントがぼけた論述になっている答案も少なくないため、流行の答案スタイルを用いる際には、注意が必要です。